Wind -a breath of heart-




@minori

インタラクティブ・ノベル
税込9,240円
2002/04/19発売
原画:結城辰也、庄名泉石
シナリオ:向井正哉、古我望

ヒロイン:
鳴風みなも(春野日和)
丘野ひなた( 阿谷ほのか)
月代彩(理多)
藤宮望(桜井美鈴)
藤宮わかば(ありす)
主人公:
丘野真


Wind -a breath of heart- Re:gratitude
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□初感

 minoriは気になっていたブランドだったのでチャレンジしてみました。なぜWindなのかというと。みなもの存在に尽きます。ずっと気になっていた子なのです。結城さんの絵で青髪ツインテですよ。
 初感なんですが。これオープニングの時点ですでに終わってませんか。幼い頃、結婚の約束をした少女は少年のことを一途に想い続け、唯一の絆であるハーモニカを吹く。偶然が重なり、二人はかつて生まれ育った街で再会。実にきれいな絵ですね。もうエンディングでいいじゃん。いや、この先普通に学園もの続けてこれ以上の見せ場を作れないだろ。だいたい、これだけのことがあってみなもを女の子として意識しない主人公って何よ。そりゃあ、問い詰めるくらいしかないよなあ・・・。
  攻略の順序はエロ助で推奨されてたとおりです。どう見てもトゥルーである彩シナリオが3番目とか。
  あと、二つの学校が隣り合って建ってるって設定には一体なんの意味があるの? ブルマとスパッツの競演のためだけ?

□鳴風みなも

 表向きメインヒロインですが。これはダメだ。何もかもが噛み合ってない。もう少しせめてちゃんと構成考えられる人はいなかったんだろうか。
 主人公の 真がとにかく喋らないんです。これが良くない。いや、サッカーのうんちくや低温殺菌牛乳の良さはいらんほど喋りますが。主人公の感情がどこに向かってるかわからないから、見てるほうは欲求不満です。プレイヤーはみなも寄りの選択肢を選んでる時点でみなもが好きなことが前提なんですよ。少なくともルートに入った描写がないとおかしいんです。キスまでされたのに何も答えを返さないのは後の問い詰めへの溜めなんだと流したけど。せめてみなもとの関係に苦悩する描写くらい入れてくださいよぅ。なんで真はみなもにこんなに冷たいんですか。
  予想通り問い詰めは良かった。奇跡的に再会したというカタルシスを越えるには実際これくらいしかできないと思うし良い演出だと思う。だけど、問い詰めに負けず劣らずの彩の長台詞。なんですかこれは。謎の全部を当人に語らせちゃいかんし、長台詞で感情を吐露したみなもの問い詰めが全然活きないじゃないですか。そもそもみなものシナリオなのに彩が勝手に話締めちゃってるし。これは彩のシナリオでやればいいんですよ。どうせ彩がトゥルーエンドなのはわかってるんだから。彩の長台詞聞いてる間、血をどくどく流し続けてるみなもなんてもうギャグですよ。救うなら早く救ってやれって。真も最愛の人が殺されそうになってる目の前で殺人鬼の話なんか冷静に聞いてんじゃないよ。こんなのが友達か。千年も人を殺し続けて、こんな安っぽい友情で改心すんのか。頭おかしい。勝手に消えろと思った。だいたい、みなものシナリオでなんで狙われるのがわかばなの。この終盤に藤宮姉妹を絡ませる必要どこにもないだろ。
  みなもが風を起こす力を持ってる設定はどこにも使わないんですか。
  そして唐突に始まるエロシーン。エロゲーなんだからまじめに作ってくれ。なんでこんなとこに入れるんだ。
  全体的に製作者だけがわかってる事実、彩の事情を考慮しすぎです。製作者は彩が悪い子じゃないことを知ってる。わかばが殺されてないことを知ってる。みなもが助かることを知ってる。でもねえ。現実に親しい人が殺されて、犯人を友達だなんて思えません。人外のものを相手にするのに、結論は殺すか殺されるかしかないじゃないですか。そして経緯はどうあれ彩を殺して皆が救われてるじゃないですか。
  みなもはねえ、絵と声は破壊力抜群。一途だし可愛いんですよ。それだけにこのシナリオのまずさは、製作者のみなもへの愛情を疑わずにはいられない。後のCDドラマの展開とか見ても、愛されていないんだなあと思います。みなもかわいそう。

□丘野ひなた

 主人公の義妹です。
  このゲーム、他のヒロインのフラグが立たないと、ひなたルートに入るんだとか。それはおかしいと思いませんか。真とひなたはお互いに血の繋がりのないことを始めから知っています。そしてこの二人、なんか最初から両想いっぽいんですよ。あげく親公認です。なんで? もしかしてみなもシナリオで真が異様に煮え切らないのはこのせいですか? 恐ろしいことにみなももまた、この二人が兄妹でないことを知っている。知っていてあの問い詰めをしたわけです。みなもに与えられた業の深さがようやくわかってきました。だけどこれは明らかに力配分がおかしい。
  お兄ちゃんお兄ちゃん言いながらのベッドシーンは良かったです。でもねえ、やっぱりみなもが不憫でしょうがないですよ。だって条件は同じ。丘野家に預けられていたのはみなもだったかもしれないんだもの。

□月代彩

 諸悪の根源。製作者が思い入れがあるキャラなのはわかります。わかりますが。
  千年も勘違いして人殺してきたっていくらなんでもひどすぎませんか。そもそも彩が守り続けた街の力。本当に価値のあるものですか? 床にワックスを延ばす力やいつでも眠れる力や逃避のために動物になる力のために、犠牲になった誰かさんの冥福を祈らずにはいられません。
  彩の行動や正体は他シナリオで散々語られます。ここのメインは発端になった千年前の回想と、一世代前、みなもたちのお母さんのお話なんですが。これを見たところで彩に同情は出来ませんでした。このお母さんは自分の娘達より彩のほうが大事だったんですか? 三日間の新婚生活もさ、他人は問答無用で殺すくせに自分には甘いよね。エロシーンをスキップしたはじめてのキャラです。

□藤宮望

 このゲームのヒロインは彩を除いて全員親戚なわけですが、望だけは彩に洗脳されてません。ゆえに殺されます。望と紫光院はこの作品の良心と言っていいと思います。望はわかばの力によって生かされている。でも、望はそんな偽りの奇跡を拒絶して、きちんと医学の恩恵を受けようとします。これが当たり前なんですよ。でもWindの世界でこの子は異端なんですね。なので救われません。

□藤宮わかば:

 望ルートからの派生エンドですが。わかばは望シナリオのサブでいいじゃないですか。わかばの言動は彩を弁護するためだけに存在している。これはもうみなもが命をかけてやったことです。推奨攻略順が最後なのはこのわかばエンドに設定上の秘密があるからです。でもさ、みなもとわかばとひなたが姉妹だから何? 言ってしまえば、わかばとひなたに個別ルートはいらないと思います。

□まとめ

 ある種のコズミックホラーですね。街を支配するのは無慈悲な赤子アザトース。その意思を代行するニャルラトテップと友人になれるか? といったところですか。
  これだけ過酷な状況をヒロインに要求しながら大筋では奇跡を容認するんですよ。千年人を殺してきた苦悩を語る彩が、いつのまにか夢を見ない現代人を非難し始めるんです。ああ、本音はこれなんだなと。俺は真の役目は彩を殺すことにしかないと思うんですが、彩に魅了されてしまっているため徹底できない。その甘さがヒロインを、特にみなもを不幸にしています。彩シナリオをトゥルーエンドとするなら、彩の思惑通りに生まれ変わりのための苗床にさせられたみなもは呪われているとしか思えませんでした。それはみなもが真と再会するために街の力に頼ってしまった代償ですね。なにせOPだから完全に不可避。だからあのOPの時点で終わってるという俺の感覚はやっぱり正しかったんです。あれはエンディングじゃなきゃいけなかった。みなもシナリオで本来書かれるべきは、真と再会する奇跡を放棄してでも、いつか必ず真を自分で見つけ出せると、そう言いきることだった。こんな作品に見込まれてしまったみなもが本当に不憫。でもさ、みなもが真と離れ離れになったのは彩のせいですよ? それに親同士はお互いの居場所を知っていたのだから、みなもは奇跡の力なんかなくたって真と再会することが出来たはずなんです。
  自ら幻想を捨て、病気に立ち向かった望。力を欲しながらそれを拒絶した紫光院。この二人がヒロイン足りえなかったのもわかります。そういう意味じゃ製作者は書きたいことはちゃんと書いてるなあ。ひどいテキストと構成でしたけど。これがホラーだと思えば状況に流されるだけ、何も出来ない見てるだけの主人公もそんなもんかなと。
 コンシューマ版では望が助かるエンドや紫光院ルートがあるとか。あーあ。

□評価

 50点。お話はむごいですが、言いたいことはわかる。みなもが可愛かったのと、絵、音楽、ムービーでこの点数。


 

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