うたわれるもの



Leaf official
@Leaf

SLG
税込9,240円
2002/04/26発売
原画:甘露樹
シナリオ:菅宗光

ヒロイン:
分岐なしの一本道です
主人公:
ハクオロ


うたわれるもの DVD版
amazon

Getchu.comの紹介


□初感

 SLGですが、お話が評価されているゲームということで。
  二つのお話を同時並行的に描いています。表ではトゥスクルの王となるハクオロの戦いを、裏ではウィツアルネミテアとオンヴィタイカヤン、ニ柱の神の戦いを。最初は独立のための戦争だったはずが、次第に二つの宗教の代理戦争に変わっていく。ヒロインは表のクーヤ、裏のエルルゥといったところですか。世界観上、王たるものにはハーレムの所有が認められています。 ヒロイン達が獣っ子ということで、女性を所有物として扱う男達と、そんな状態でもしたたかに立ち回る女性達というのが裏テーマなのかな。記憶を失ったままこの世界に放り込まれたハクオロですが、彼の中には宗教対立もハーレム思想もありません。彼は我々と同じ現代人の知識と常識を持った人間です。

□クーヤ

 それぞれ個々の事情を抱えてハクオロの陣営に加わるヒロイン達の中で、一人だけ特別な扱いなのがクーヤです。敵対する国家の首領同士で、ハクオロの鏡である存在に契約で縛られている少女。
 ドラマ性でクーヤに勝てるヒロインっていないんですよ。下から押し上げられて戦争始めちゃったクーヤが救われるのって、トゥスクルに敗れること以外にないんですよね。目的はシャクコポル族が安寧に暮らせること一点。その点でハクオロはあの世界において唯一民族差別をしない支配者なわけで。宗教が違うので完全併合は難しいですが、クーヤが身を差し出すかわりに民族の地位向上を図るってのが最も現実的な落とし所だと思います。クーヤ自身が語っていたことですが生まれた子供は母方の民族遺伝を受け継ぐので、クーヤが身ごもれば子供はシャクコポル族です。その子が統一王朝の皇太子なら実際こんな美味い話はないわけで。滅亡寸前の国家の頭首としてここまでやれれば充分身をとったと言えると思います。ゲンジマルは絶対そのつもりでサクヤを先に嫁がせている。民族のための保険ですね。

□エルルゥ

 ハクオロ自身が知らないところで、ハクオロと契約によって縛られ、所有物となった少女。ところが、ハクオロの恋人の子孫にして生き写しというプライオリティーを与えられていて、実は最初からこの子しか愛せない仕様です。最もこの設定はハクオロが記憶を取り戻すことを前提にしているため、エルルゥのヒロイン描写は全て陽の当たらない地の底深く、ハクオロの内面世界でしか表現されません。まさに裏のヒロイン。
 この子には最初からハクオロの持ち物であるという以外に何一つ有利な点はありません。カルラやウルトはお姫さまですし、トウカは民族の英雄、ユズハは将軍の妹。エルルゥはただの村娘ですから後ろ盾が何もない。幸いにして他の女性達は権力に拘泥しない人たちでしたからエルルゥを立ててくれてましたが味方ってわけじゃないんですよね。実際ユズハは抜け駆けをしてしまいますし。そしてここにクーヤが加わり第一夫人の座を要求したら? 自分の子供の立太子を主張したら? ここではじめて、今までハクオロのお気に入りだというだけで大奥を牛耳ってたエルルゥの立場が脅かされるわけで。俺はこの女の戦いをこそ見たかったのですが。結局クーヤは不戦敗。ハクオロが国ほっぽり出してカミュ救いに行った時点で俺のうたわれるものは終わりました。このみとタマ姉の関係でもそうですが、菅さんっていうのは女の修羅場書けない人なんでしょうか。エルルゥが好きなのはよくわかりました。エルルゥ可愛いですよ。そんなら最初からヒロインはエルルゥだけでいいんじゃないでしょうか。
 エルルゥがメインヒロインだと決まってるこのお話にハーレムって要りますか? 他のエロシーン全部削っていいから、エルルゥをめいっぱい可愛がらせてくれませんか。ハーレム設定があるおかげで(逆に言えば神聖な契約である結婚という描写がないために)、エルルゥがアルルゥ助けるために仕方なく所有物になりましたっていうあの最大の見せ場が、葛藤も衝撃もない軽いものになってしまっているし、ユズハとクーヤはエルルゥのあおりくって殺されたようなもんです。ハクオロがハーレムを容認しちゃったことで、エルルゥの存在感がまるでなくなってしまう。例えばヌワンギはエルルゥの幸せのために王になろうとしました。そのやり方が稚拙であったとしたところで、ハクオロは彼のエルルゥに対する想いの純粋さに勝てるんでしょうか。どんな偉い王様だろうが超存在だろうが、エルルゥに対する想いはヌワンギのほうが上。そういう敗北感に襲われるお話でした。恋人より飼い主のほうが立場が上? そんなの所有したって言えるか。そういうことです。

□まとめ

 各地で戦乱を画策していたディーと対決することは長期的に見れば重要なことかもしれません。でも、その動機がカミュを取り戻すことである以上、ハクオロの私闘に過ぎないのも事実で。あの戦いに国政の主要人物全て引き連れていくハクオロの見識は非難されるべき。結果としてハクオロ一人が消えただけで済みましたが、仮に全滅していたら残された民衆は一体どうなるんですか。後々のことを考えてもウルトとベナウィは絶対に連れていってはいけないと思います。ハクオロがいなくなったあの国は、継ぐべきはユズハの子供ですが、政治闘争を嫌ってオボロが連れ去ってしまったわけで。盟主になるのは立場上ウィツァルネミテアの神官であるウルトになるでしょうか。こうなるとクンネカムン残党による泥沼の内戦。クーヤはあの状態ですから悪人が利用し放題です。幸せな未来はどうにも望めそうにないですね。

□評価

 50点。 対クンネカムン戦までは面白かった。 でも、その後の政治状況を無視した超展開は正直コンシューマの範疇です。18禁ゲー厶である必要が感じられないということでちょっと厳しめの点です。


inserted by FC2 system