Routes



Leaf official
@Leaf

AVG(ビジュアルノベル)
税込9,240円
2003/02/28発売
原画:カワタヒサシ
シナリオ:永田和久、まるいたけし

ヒロイン:
湯浅皐月
伏見ゆかり
リサ・ヴィクセン
梶原夕菜
立田七海
さくや
主人公;
那須宗一
那須大八郎


Routes DVD-ROM版
amazon

Getchu.comの紹介


□初感

 コレいい! すごくいい。俺はリーフを甘く見過ぎていました。そう、確かにツッコミどころは多々あります。こんな高校生いるかって話ですが。全部金で解決かって気もしますが。それでも読んでてこんなに幸せな気持ちになれるゲームはそうそうありません。ライターさんが二人。永田さんとまるいさんなんですが、まるで噛み合ってないこの二つのテイストがなんとも言えない空間を作り出しています。

□湯浅皐月

 皐月がもう可愛すぎ。この個別ルートは宗一のアクション面を描くのですが、話の本筋には至りません。ここでキャラ立ちをさせ、後のトゥルールートへ繋げるためです。とはいえ、ここで爆発するのが皐月の魅力。皐月はほんとにいいパートナーキャラです。背中を預けられる女性っていいですね。俺はこういうタイプがたぶんリアルでいちばん好き。宗一と皐月のバカップルぶりはエロゲ史上に残る名テキストです。

□梶原夕菜

 お姉さん。やばいです。お姉さん属性のない俺がぐらぐら来ます。まるいさんのシナリオは平坦、平坦、平坦と来ていきなりがっと盛り上がる。「わかった、僕は地獄へ向かおう」で涙ぼろぼろ。肉親系ヒロインシナリオの醍醐味はこの微妙な寝取られ感にあるんですよね。売春を匂わせたり、男の話を持ってきたり、独占欲をがんがん刺激してきます。

□立田七海

 お姉さんと宗一の関係と対になった宗一と七海。そして並行して描かれる和田さんシナリオ。「それでも、仲間の復讐をしたかったのだ」これですよ。そしてベランダで一人待つ七海。すばらしいです。庄蔵じいさんもいい味出してます。やはりこういう大人が出てくる話はいいですね。これに関してはエロはいらなかった気がしますが。

□伏見 ゆかり

 ゆかりはうーん、話はそこそこ盛り上がって良かったですがどうしても圏外です。つかお姉さんに護衛付けるんなら、皐月とゆかりにも付けとけよと。こうなることは容易に想像付くと思うんだが。そういう意味でも大事なのはお姉さんなんだなあ。ミルトはいい女ですね。

□リサ・ヴィクセン

 外堀から埋めてくつもりだったのでリサを最後に残したんですが、ゆかりシナリオのネタばれ見る限り失敗だったかも。リサが俺の好みからだいぶ外れてるのもそうですが、このシナリオはどうにも楽しめなかったかな。個別ルートでは案外ぱっとしないのがリサです。

□トゥルールート

 本当のミッション。この作品は選択肢を選ぶことで物語が変化するノベルゲームを俯瞰したメタフィクションなんですね。5本の個別シナリオを経て知識と経験を共有した宗一が、無数の可能性の中から篁に至るルートを選び取るわけです。そして宗一は作品を観ている我々プレイヤーのエージェント(代理人)なわけですね。こういう言葉遊びがいろいろ仕掛けられています。

□Roots

 そして、ルーツ。根源。根の国。どうしてここでこのお話を入れなければならなかったのか。宗一が選択を下す材料以上の意味があるのか。俺にはよくわかりませんでした。でも。胸がいっぱいです。さくやが可愛かった。絶対悲恋で終わるなと思ってたんで、ハッピーエンドで良かったです。このお話、猿飛佐助と徳姫さま思い出すんですが、元になった伝説がちゃんとあるのね。誰が誰の生まれ変わりなのかとかずっと考えながら読んでたんですが全然そういうこともなく。だったら、人質は皐月じゃなく、お姉さんのほうが宗一にはダメージでかいと思うんですが。世界がどうなろうと皐月は最後の日まできっと料理人続けると思うんですよ。そこだけがちょっと気になった。

□おまけシナリオ

 ここまでやってRoutesです。皐月が可愛いー。ほんとに幸せいっぱいです。

□まとめ

 永田さんシナリオとまるいさんシナリオが最後まで融合しません。全体を通して何を書きたいのかわかりません。それでありながらなぜか名作に思えます。考えるんじゃない、感じるんだ! ってゲームが言ってるようです。カワタさんの絵、軽快なテキスト、泣きの音楽、どれも一級品です。ボイスなしなのが悔やまれますね。特にさくやの歌は。
 篁は人間への絶望を口にしますが、己が創造主になると言ってる時点で人間の存在を全く否定できていない。結局のところ、ありきたりな悪役を演じているだけです。それも楽しそうに。同じようにヒロイン達の思い出背負って「愛」を振りかざす宗一もなんだか本気じゃないっていうか、演技過剰な役者を見るような。嬉々として正義の味方を演じているような印象。篁は同じ理会の力を持つ宗一を自らの敵として育て、己を倒させる。その意図も特に語られていません。単なる本能なのかもしれない。どうやら篁と宗一は、それぞれ八岐大蛇と素戔嗚尊の眷族らしいですし、互いに戦い合わざるをえない存在同士なんでしょう。戦いのための戦い。それはお互いをわかりあうため。美学があれば戦いは美しいものになるんです。オロチ退治の物語って男の理想の物語ですよね。絶対悪を倒し、英雄になって美しい女を手に入れる。時代は下って源平合戦。これは戦いの美学と悲哀を描いた英雄群像。そんな物語が好き。そんな物語を作りたい。それがリーフのルーツなんでしょうか。
 リーフというメーカーはヒロインに仮託した物語というものを作りませんよね。ヒロイン同士の相克のようなものを書かない。メインヒロインはメインヒロインであって、それは単にゲームの看板に過ぎない。東京開発室の作品はそれでもまだ恋愛ものテンプレートを表向きでも採用しようとしているんですが、大阪のほうはもう長いこと恋愛らしい恋愛を書いてないんじゃないでしょうか。ホワイトアルバムでやり尽くしたということなのかな。物語の主題は常に主人公にあって、それはつまりプレイヤーなんですが、これに製作者が語りかけ、動かす構図。無印東鳩をずっと前にやった時感じたのはリーフの異様なまでのおせっかいというか説教癖でした。来栖川産業をそのままリーフに置き換えるとわかりやすいです。そのへんの色はずっと健在という気がします。
 理会の力が物語を俯瞰する力だとすれば。それが可能な2者というのは製作者とプレイヤーです。服を脱ぎ始めた七海の前で絶望する宗一はエロゲを作るリーフの絶望であり、俺らエロゲーマーの絶望でもある。この剥離を理解して欲しいのでしょうか? リーフがこの後出すのがエロで作る物語に疑問を投げ掛けた天使のいない12月。その後のうたわれるもの・TtTは18禁である必要すらありません。結局のところリーフはエロゲなんか作りたくないって、そういうこと?

□評価

 80点。 このRoutes、俺はまだ読めた気がしません。それでも深く印象に残るそんな作品。


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